ウォーキングポールとステッキの違い
正しい歩行で健康を守る――ウォーキングポールの活用法
高齢者をはじめ、日常的に歩行を意識するすべての人にとって、「どう歩くか」は健康寿命を延ばす大切なテーマです。
特に最近注目を集めているのが、ウォーキングポールの活用です。
骨盤を立てる「握り」が姿勢を整える
ウォーキングポールの握り方には特徴があります。一般的なステッキとは異なり、骨盤を自然に立てるよう設計されたグリップ構造になっており、ポールを握るだけで姿勢が整いやすくなります。
これは、姿勢が前かがみになりがちな方にとって特に有効で、背筋をすっと伸ばしたまま歩ける感覚が身につきます。猫背による首・腰への負担を減らし、体の軸をまっすぐ保つことで、転倒リスクの軽減にもつながります。
「支える」のではなく「バランスを取る」ための道具
ウォーキングポールは、いわゆるステッキ(ステッキ)のように体重を大きく預けて歩くものではありません。
どちらかといえば、体の左右バランスを補助する“補助装置”と考えると良いでしょう。
「体重はかけず、姿勢とバランスを整えるために使いたい」という方には特におすすめです。歩行時に身体が左右にぶれやすい方、転びやすくなってきたと感じる方が、無理のない範囲で自力歩行を続けたいとき、非常に心強い味方になります。
安心して歩きたい方は“2本使い”を推奨
「1本だけでは不安定」「バランスを取るのが難しい」という声も少なくありません。そのような場合は、両手に1本ずつ、計2本のポールを使う方法が安心です。
医師の中には、歩行車(シルバーカーなど)からステッキへ移行する患者さんに、1本よりも2本のポールを推奨するケースもあります。両手で支えることで、左右均等に力が入り、体幹の筋肉をバランスよく使えるからです。
また、2本のポールで腕の振りが自然になり、全身運動の効果も高まります。心肺機能や筋力の維持・向上を目指す方にも適しており、リハビリや予防医療の一環としても注目されています。
おわりに
歩くことは、最も身近で効果的な運動のひとつ。しかし、加齢や運動不足によってフォームが崩れると、かえって体に負担をかけてしまうこともあります。だからこそ、正しい道具と使い方を知ることが健康への第一歩。
ウォーキングポールは、ただの補助器具ではなく、「歩き方」を整えるためのパートナーです。
無理のない範囲で、姿勢とバランスを意識した歩行を。これが、これからの“アクティブ・エイジング”のスタンダードになるかもしれません。